アップル Power Mac G4 Cube
アップル Power Mac G4 Cube ( Apple Power Mac G4 Cube )
APPLE WATCHってどうなの?
現代において、最も先進的で最高峰のプロダクトデザインを生み出していると言われる米アップルの、2000年7月に発表されたプロダクト。Power Mac G4 Cube。
そのシンプルでモダンなスタイルと、美しく極めて洗練されたデザインは、未だに根強い人気を誇ります。
1997年、倒産寸前にあったアップルを再建すべく、アップルに復帰し旧経営陣を一掃し自ら暫定CEOにたったスティーブ・ジョブズが真っ先に手掛けたのは、プロダクトの選択と集中でした。
その結果、アップルのコンピューターシリーズ、Macintoshは、コンシューマーとプロフェッショナル、デスクトップとラップトップと言うたった4つのカテゴリに集約されました。
コンシューマー向けには、iMacとiBookシリーズ。プロフェッショナル向けにはPowerMacとPowerBook。
こうして製品の集約化と整理を図った後に、世に出されたのが、このPower Mac G4 Cubeです。
Power Mac G4 Cubeは、ジョブズの定義した製品マトリクスの中では、コンシューマーとプロフェッショナルの中間に位置するもので、その存在意義はやや曖昧なものでした。
どちらかと言うと、スティーブ・ジョブズのプロダクトに対する美学のこだわりが生み出したプロダクトと言えるかも知れません。
自ら創業したアップルから1985年に追放され、新たにジョブズが立ち上げたNeXT社のプロダクト、NeXTcubeを彷彿させる立方体のデザインは、NeXTcubeでの失敗に対するリベンジ・リチャレンジにも思えます。
NeXTcubeは、ジョブズのプロダクトに対するこだわり・完璧主義を貫いた製品で、素材には当時とても高価だったマグネシウム合金をあしらい、こだわりが行き過ぎてとても高価なマシンとなってしまいました。
この為、商業的には失敗に終わります。
NeXT社自体も1996年末にアップルに買収され、NeXTの事業自体、失敗したものとなります(そのお陰で、スティーブ・ジョブズはアップルに復帰出来た訳ですが)。
ジョブズのcubeに対するこだわりを、現在、世界で最も高い評価を持つプロダクトデザイナーの一人、アップルのカリスマデザイナー、ジョナサン・アイブが極めて洗練されたデザインで形にしたのが、このPower Mac G4 Cubeと言えます。
Cubeの名の通り、約8インチ(20cm)の立方体型の筐体が最大の特徴です。
シルバーの筐体は透明のポリカーボネートで覆われており、筐体の下部分は透明のポリカーボネートのみでシルバーの立方体が宙に浮いているように見えるデザインとなっています。
この透明とシルバーの組合せは、その後、ガラスとアルミニウムの組合せで、MacプロダクトやiPhone、iPadにも引き継がれていきます。
発表された当初は、その美しく洗練されたデザインで大きな注目を集めましたが、そのパーフェクトな美しさとデザインに当時の製造技術が追いつかず、美しい透明のポリカーボネートの成形時に小さなスジが残ると言う問題が発生しました。さほど美にこだわった製品でなければ、これはさしたる問題にはならなかったと思われますが、美を追求したプロダクト、またそれを期待して入手するユーザーにとっては問題でした。
また、Power Mac G4 Cubeの中途半端な製品としての立ち位置、性能はさほど高くないのに高価等も、訴求力に欠ける事となり、販売は著しくない結果となりました。
この結果、1年後の2001年7月には販売終了を迎えることになります。
この迅速な判断は、かつて古巣のアップルやその後のNeXTでの失敗から、スティーブ・ジョブズが経営者として大きく成長した事を示していました。
商業的には成功しなかった、Power Mac G4 Cubeですが、その美しいデザインは高く評価され、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の収蔵作品となっています。