漆器 鳥毛清 沈金飾箱「緑風」
漆芸家、鳥毛清 (トリゲ キヨシ) による、漆器、沈金飾箱「緑風」。
この作品は、平成23年 第58回日本伝統工芸展にて、高松宮記念賞を受賞した作品です。
漆芸の沈金と呼ばれる技法を駆使して丹念に制作されています。
沈金とは、塗り上がった漆面に、のみや刀と呼ばれる刃物で模様を線や点で彫り、彫ったみぞに金箔や細かい金粉をすりこみ、細くて繊細な模様を表現する技法です。
600年ほど前に中国大陸から伝わった技法。
鳥毛清は、沈金技法と得意とする、漆芸家。
もともと絵描きを目指していた、鳥毛清は、高校受験の際、絵画の学校ができたと聞いて飛び込んだところが、輪島塗の養成学校でした。
学校卒業後は、沈金技法の重要無形文化財保持者(人間国宝)である、輪島の前史雄に師事します。
安直に、伝統工芸だから、漆塗りはいいものだと思われたくない、やはりパッと見て綺麗だと思うような作品じゃないといけない。デザインがかっこいいことはとても大事。と語っています。
伝統と現代の感覚を融合する事に注力した作品作りをしています。
絵描きを目指していたと言う事も頷ける、細かい点描と躍動感のある写実表現が作品の最大の魅力と言えます。
日本工芸会正会員、日本文化財漆協会員。
漆器は、漆塗りを施した器物です。
日本を始め、中国、朝鮮、タイなど、漆を産出する国で発達した東洋独特の工芸です。
高級品は美術工芸品となりますが、普通品は実用品として使われます。
製法は木材、竹、紙、布、皮、合成樹脂などを用いて作った素地 (きじ) に漆を塗りますが、高級品ほど漆塗りの回数は多くなり、制作にも多くの工程・期間が必要となります。
英語で、磁器をchinaと呼ぶのに対して、漆器はjapanと呼ばれ、欧米では日本の特産品・工芸品と考えられています。
繊細で熟練を要す技法を駆使して手作業で丹念に制作される高級漆器は、芸術的価値も高く、日本を代表する高級工芸品として広く知られています。
[出典]ギャラリージャパン