漆器玉虫塗ワインカップペア

by crafts_design · 公開済み 2016年2月3日 · 更新済み 2016年2月4日

仙台生まれの漆器工芸、「玉虫塗」の美しいペア・ワインカップです。
玉虫塗の特徴は、艶やかに照り返す発色と光沢。
光の加減で色合いが微妙に変わる、その豊麗な色調がタマムシの羽根に似ていることからこの名が付けられています。
独特の風合いに加え、「玉虫塗」はもともと国策として開発された特許技術であることも大きな特徴です。

「玉虫塗」は、昭和7（1932）年、国の初めての試みとして仙台に設置された国立工芸指導所で、国策として「輸出」のために開発されました。
この工芸指導所では、海外の嗜好に合うように、色、デザイン、質感すべてに熟考を重ねて新しい漆工の可能性を模索していました。そこで開発されたのが、「銀粉」を撒き、その上から「染料」を加えた透明な漆を塗り上げるという独特の技法です。この技法により、これまでの漆器にはない、鮮やかな色と輝きを出すことができるようになりました。

「玉虫塗」の唯一の製造元は、東北工芸製作所。
国立工芸指導所と東北帝国大学金属材料研究所の支援を受けて昭和8年（1933年）に設立されました。
東北工芸製作所は、昭和14（1939）年に玉虫塗の特許実施権を得て、その後、国内・海外向けに次々と新商品を製作。
昭和60（1985）年には宮城県の伝統的工芸品の指定を受け、現在は献上品、記念品などとしても愛用・重宝され、仙台の特産品として親しまれています。

玉虫塗の工程では、「銀粉蒔き」と言うのがあります。
作品の素地に、漆を接着剤にして、銀の粉末を蒔きつけるものです。銀粉を多く蒔くと輝きは強くなりますが、漆の密着が弱くるため、銀粉の量と密着度のバランスが難しい工程。
最大の特徴である「艶やかな光沢」を生み出す、玉虫塗だけの独特の工程です。この銀粉の輝き具合を調整することにより、玉虫塗の奥からの美しい照り返しを実現しています。

本日ご紹介している、ワインカップのペアセットは、赤と緑のワインカップのセット。
玉虫塗の特徴である美しい艶と発色が魅力的です。
引き出物や贈り物や、海外へのお土産にも人気。
キャロラインケネディ氏が宮城県を訪問した際、宮城県知事が贈呈して話題となりました。