高岡銅器 大澤光民 鋳ぐるみ鋳銅花器 「火と水と」 2009
高岡銅器 大澤光民 鋳ぐるみ鋳銅花器 「火と水と」 2009
日本一の銅製品の産出量を誇る、富山県の「高岡銅器」から、花器作品のご紹介です。
金工分野の人間国宝 (重要無形文化財)、大澤光民による作品です。
高貴さと威厳に溢れた、荘厳な印象も持つ存在感溢れる作品。
大澤光民は、高岡銅器の代表的な技法である「焼型鋳造」に熟練している上に、独自の技法「鋳ぐるみ法」を生み出し、高岡銅器に新しい作風を確立した金工作家。
平成17年(2005年)に、人間国宝である重要無形文化財「鋳金」の保持者に認定されました。
鋳ぐるみ法は、鋳型に、銅線やステンレス線、白銅線などの異なる金属を配置し、溶けた銅合金を流し込み、異質な金属同士を包み込む技法です。
冷えて固まった後にヤスリやサンドペーパーなどで表面を磨きあげると、金属の線や点が文様として浮き出てくるのが特徴。
制作の過程では、鋳型の土くずれ、焼き方、地金の配合、融解温度の加減、異質金属の膨張具合の見極めなどが難しく、長年の経験と勘が頼りとなります。
本作品は、以前掲載したものと同じタイトルの作品。前回のものが2011年制作でしたが、今回の作品は2009年制作です。
「火と水と」とタイトルされた本作は、大澤光民作品に多く見られる、赤と白の線を主体に直線的な文様で構成されています。
大澤光民の作品は、光と水のイメージを中心にして創られています。
生命の源であり神羅万象の根本である、光と水をモチーフに、自然、地球、宇宙を表現しています。
風、うず、電波、音、磁気、空気 等々、全ては光と水の調和であると捉えた、光と水のイメージを中心とした作品創作が特徴です。
高岡銅器(たかおかどうき)は、富山県高岡市で作られている銅器の総称。伝統工芸品です。
江戸時代の初め、加賀前田藩が、鋳物の発祥地である河内丹南の技術を持った7人の鋳物職人を招いて鋳物工場を開設したことに始まります。
高岡鋼器は花器、仏具等の鋳物に彫金を施す「唐金鋳物(からかねいもの)」を作り出したことにより発達しました。明治時代には、パリ万国博覧会に出品されたことから世界でも知られるようになり、全国の生産量の9割を占めるまでに至っています。商品の種類や表現意図により13種類の工法があります。色々な工法を駆使して鋳造、加工された製品は、卓上置物から花器、香炉、パネル、ブロンズ像、大仏にまで及んでいます。
[出典]日本工芸会, Onishi Gallery