セーブル ゴブレット 差し込み様式カップと鞘受け皿
ゴージャスな色彩美と上質なエレガントさが共存しています。
「幻の陶磁器」と呼ばれる、フランスの名陶・国窯「セーブル ( Servers )」の超希少品です。ゴブレット(カップ)と受け皿のセット作品。
ゴブレットを収容するよう、受け皿は鞘のような形状となっています。オリジナルは1765年に制作されたもので、その復刻品となります。
彩色装飾年度は、1996年。
フランス国立セーブル陶磁器製作所工房で創作活動をする装飾作家(画家)陶芸家である、Nadine Preteux(ナディヌ プレト)による制作です。
素材は、ハードペースト(硬質磁器 P.D)と呼ばれるもので、硬質磁器の製法を解明する以前セーブルの工房で開発された十八世紀の技法を用いた素材を利用しています。
カップ、受け皿ともにろくろ成型によるもので、取っ手は手作業で成型し、18世紀当時の技法による液状陶磁器で取り付けられています。
その工程は、まず1260度で白磁素焼き状態に焼成。二度目に1120度で焼き付けます。24K金彩及びNadine Preteux(ナディヌ プレト)による多色の装飾は手描きにより丁寧に仕上げられ、セーブル工房独自の金や色彩を低温で焼き付ける技法、プチ・フーで仕上げられています。
焼き付け後は金彩を磨いて艶出しする技法、ブルニサージュ・ア・レフェでセーブル工房独自の瑪瑙や赤鉄石を使った技術で丁寧に磨かれることにより「時代物」の風格とサテンのような柔らかい輝きがもたらされています。
セーブル工房でも最重要作品に位置づけられているこの作品の原型は、このカップよりもっと小さく、「女王のカップ」と呼ばれており1752年に制作されました。このカップのモデルはそれ以前、ミルクカップとして存在していました。
1759年に「女王のカップ」を少し大きなサイズにしなおし鞘受け皿を加え、更にこの装飾柄が考案され、同作品が制作されました。
この作品は飾り紐の柄と同じ色、ハーモニーを着想の基として1765年にMicaud Pere(ミコード ペール)により制作されました。
このカップと受け皿は各一個かセットとして制作・販売。オルレアン公爵が6客を購入された際は特別にミルクカップとその受け皿、シュガーポットも制作販売されました。その後、約50年後にこのカップセットはルイ16世に販売されました。
当初この受け皿のフォームは高齢者や病人のためとして考案されました。ポンパドール夫人も1763年2月の病気の際、4客が贈られこのカップを使用しています。バリー夫人も紅茶やココアを飲むときに使用しています。このカップと受け皿は1770年にベルランとデルビによってコピー作品が作られ、オルレアン公爵の工房にて1790年に、又、その後、サムソン工房のカステイユによっても制作されました。
1790年にはこのカップと受け皿の様式は他にも制作されています。このカップのオリジナルは国立セーブル陶磁器博物館のアンドレデロンブルコレクション内18世紀作品群の中に保存されています。
セーブル ( Sevres )
別名「幻の陶磁器」。
国窯であるセーブルは現在でもエリゼ宮や国賓へのギフトなどフランス国家のための制作が中心です。職人の数はあらゆる工程の全職人を合わせても約100人。ヘレンドがペインターだけで600人ですからいかに職人が少数精鋭であるかがわかります。
セーブルの使命は「品質を落とさないこと」に尽きます。
コスト管理よりも最高の作品を作り出すことが最優先される国家事業であることは職人にとってひじょうに恵まれた環境でもあります。ポンパドール貴婦人のバックアップで1750年に王家ご用達ヴァンサンヌ窯が「王立製陶所」となり、1759年にヴェルサイユ近郊のセーブルへ移転し、「フランス王立セーブル製陶所」となりました。
以来、「王者の青」「クラウテッドブルー」「アガサブルー」などの深遠な色使いに繊細かつ華麗な金彩装飾を施した名品を生み出し続けています。
その希少性は、一般顧客への流通ルートが閉ざされていることでますます高まり、冒頭の「幻の陶磁器」たるゆえんとなっています。世界中で日本にのみ代理店が存在するため、入手は可能ですが、日本代理店用に制作する意図はありませんので、事実上は一般入手の道は閉ざされています。
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