ヴェネチアガラス アントニオ・ダ・ロス 彫刻のようなボウル
( Venetian Glass Antonio Da Ros Chunky Sommerso Sculptural Glass Bowl )
ミニマルでシンプルな形状。
然しながら、そこから生み出される圧倒的な存在感と空気感。
まさにガラスの芸術品です。
イタリアの伝統ガラス工芸「ヴェネチアガラス」の作品。
ヴェネチアのガラスデザイナー、アントニオ・ダ・ロス ( Antonio Da Ros ) によるものです。
本作品は、1970年代の製作と推定されます。
ボリーム感に溢れたクリスタルガラスの塊に、不可思議な黒色の斑点のようなものがデザインされています。
その組合せが絶妙な塩梅となっており、ミニマルな形状の中に、大きな存在感を示しています。
技法として用いられているのは、対照的な色の層が特徴の、ヴェネチア・ムラノガラスの技法として古くから受け継がれている伝統技法、Sommerso(ソッメルソ)です。
ガラスの塊とシンプルな形状、ソッメルソから生み出されるコントラストが彫刻のような美しさを纏っています。
ヴェネチアガラス(VENEZIAN GLASS)
ヴェネチアガラスは、700年以上もの歴史と伝統を今に伝えています。もちろん、その名のとおり中心地がイタリアのヴェネチアであることは言うまでもありません。中世のヴェネチアは、世界貿易の中心となる過程で優れたイスラムのガラス芸術吸収することにより誕生しました。
ヴェネチアガラスを”ムラノガラス”とも呼びますが、ムラノとはヴェネチア本島から北東約1.5kmにある島で、ここでガラス製造が集中して行なわれていたため”ムラノガラス”とも呼ばれています。ここもあの有名なスワロフスキーと同じようにその製法の秘密を守るためにヴェネチア本土からこのムラノ島に工房を移転したのだといわれています。
ムラノ島で制作されるガラス芸術は15世紀には 高級工芸品として価値を持ち始め16世紀には、ヨーロッパ全土で広く受け入れられ、流行していきました。ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」は、12人のムラノのマエストロ(職人)がヴェネチアから連れ出されて製作したといわれています。
こうしてその名をヨーロッパ全土に広めたヴェネチアガラスは、主に貴族や富豪のために特別に注文されたテーブルウエアを製作するために、大きくそのスタイルを発展させました。 そして、アイスクラック、ダイヤモンドポイント彫り、レースガラス、クリスタルなど多彩なカットの技法が次々に生み出されました。近世では、ガラス文化をヨーロッパ全土に広め、一時はヨーロッパ市場の90%を占有するほど成長しました。
そして現在、熟練したマエストロ(名人)達は息子からそのまた息子へとこの技術を伝承し、昔と変わらぬ伝統の技を活かしながらヴェネチアガラスは創り続けられています。機械での大量生産では出せない本物の味わいがそこにあります。
[出典]1stdibs.com
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