ファベルジェの卵アレクサンドル宮殿 1908

by crafts_design · 2020年3月15日

( Fabergé Imperial Eggs Alexander Palace )

宝飾・金細工の最高峰です。
ロシアの貴金属工芸の名作シリーズ、ファベルジェの卵です。
歴史上屈指の工芸美術品とも言われる、ファベルジェの卵は、ロシア王室ご用達であった、宝飾・金細工師、ピーター・カール・ファベルジェ (Peter Carl Fabergé) による、ロシア王室の為に制作したイースター・エッグです。このエッグ作品は、毎年のように制作され、1885年から1917年の間に58個作成されたとされています。

今回は、1908年に制作された、アレクサンドル宮殿 ( Alexander Palace ) をご紹介します。
このエッグは、1908年のイースターで、ロシア皇帝ニコラスII世が、その妻アレクサンドラ・フェオドローブナへの贈り物として贈呈したものです。1913年から1916年までアレクサンドル宮殿のフェオドローブナの藤色の応接室に収容されました。

卵には、皇帝ニコラスII世とフェオドローブナの子供たちの5つの肖像画が装飾されています。卵は、金、ダイヤモンド、ルビー、シベリアのネフライト（軟玉）、銀、水晶、グリーンエナメル、木材、ガラスなどの素材を用いて巧みに制作されています。子どもたちの楕円形の肖像画は、象牙に水彩で描かれ、ダイヤモンドで縁取られています。各肖像画の上には、冠飾されたダイヤモンドのモノグラムがあり、子供の最初のイニシャルが表されています。

そして、ファベルジェの卵で特徴的なのが、それぞれのエッグに潜ませた”仕掛け”です。
この「アレクサンドル宮殿」の”仕掛け”は、ロシア皇室のお気に入りの住居であるアレクサンドル宮殿の緻密なレプリカです。小さなレプリカは、宮殿の隣接する庭園も精緻に再現しています。ミニチュアは、色付きの金とエナメルで作られていいて、窓はロッククリスタル、エナメルのライトグリーンの屋根で作られています。宮殿のレプリカは、5本の細い高い脚のある金のテーブルに置かれ、卵から取り出すことができます。レプリカのベースには、「ツァールコエセローの宮殿」と書かれた碑文が刻まれています。

卵の高さは110mm。直径は68mmです。
本作品の現在の所有者は、モスクワのクレムリン博物館です。
　

ピーター・カール・ファベルジェ (Peter Carl Fabergé) とは19世紀末から20世紀初頭にかけてロシア王室ご用達となった宝石商・金細工師です。
インペリアル・イースター・エッグでよく知られています。
ファベルジェがロシア王室の注文を受けて製作された数多くの宝飾品や飾り物、文房具、時計等、膨大な工芸品が残されています。

ロマノフ家のアレクサンドルIII世とニコライII世の注文でそれぞれの皇后と母后のために製作されたインペリアル・イースター・エッグと呼ばれる作品群はその独創性に溢れる美しさと、精緻を凝らした仕掛けとで歴史上屈指の工芸美術品として名高いものです。
ファベルジェの卵とも言われます。
1885年から1917年の間に58個作成されたとされますが、数については異説もあります。
現存が確認されず、行方不明となっているものも多くあります。