ヴェネチアガラス アルフレッド・バルビーニ 花瓶・オブジェ「Strati Rotondo Sasso」
( Venetian Glass Alfredo Barbini Object-Vase “Strati Rotondo” )
少し久々のアルフレッド・バルビーニ作品の紹介です。
圧倒的な存在感とガラスマテリアルの魅惑と魅力に溢れた作品。
鮮烈な赤と青、そしてガラスのクリアが鮮烈な印象を残します。
イタリア、ムラノ島の伝統ガラス工芸「ヴェネチアガラス」の花瓶、ガラスオブジェ作品です。この作品は、本サイトでも幾度と紹介している、ヴェネチアガラスのマエストロの中でも巨匠と評される作家、アルフレッド・バルビーニ ( Alfredo Barbini )によるものです。
制作は1970年頃の想定されます。
青と赤、クリアの3つの色が融合した無色のクリスタル ガラスが水平に重なり、リング状に先細になっています。
手吹きの無色の固体ガラスの本体に、メインのガラスに染み込む青と赤の着色ガラスの3つの異なる領域を重ねて作られています。
こうした色の層、いくつもの層を融合させた作品は、アルフレッド・バルビーニの特徴的なものですが、圧倒的なボリュームのガラスに鮮烈の輝く赤と、青、そして光の当たり具合により変化する光彩の美しさがモダンインテリア・オブジェとしても非常に魅力的です。ミッドセンチュリーの香りも高く。
私自身も、小樽だったと思いますが、ヴェネツィアガラスの美術館で、バルビーニ作品を見たことがありますが、ガラスマテリアルの持つ圧倒的なボリュームと、宇宙のように吸い込まれそうな存在感とオーラにすっかり魅了されました。
アルフレッド・バルビーニは、ヴェネチア、ムラノ島の有名なガラスメーカー、ジーノ・セネディス&C ( Gino Cenedese&C ) の前身である ヴェトレリア ( Vistosi ) で、ガラス吹き職人のマスター及びデザイナーとして働いた後、1950年に彼自身の工房、Vetreria Alfredo Barbini を立ち上げました。
ヴェネチアガラスのマイスターの中でも巨匠と評され、実に存在感溢れ、独特の世界観を持つ作風のガラス芸術作品を数多く残しています。
ヴェネチアガラス(VENEZIAN GLASS)
ヴェネチアガラスは、700年以上もの歴史と伝統を今に伝えています。もちろん、その名のとおり中心地がイタリアのヴェネチアであることは言うまでもありません。中世のヴェネチアは、世界貿易の中心となる過程で優れたイスラムのガラス芸術吸収することにより誕生しました。
ヴェネチアガラスを”ムラノガラス”とも呼びますが、ムラノとはヴェネチア本島から北東約1.5kmにある島で、ここでガラス製造が集中して行なわれていたため”ムラノガラス”とも呼ばれています。ここもあの有名なスワロフスキーと同じようにその製法の秘密を守るためにヴェネチア本土からこのムラノ島に工房を移転したのだといわれています。
ムラノ島で制作されるガラス芸術は15世紀には 高級工芸品として価値を持ち始め16世紀には、ヨーロッパ全土で広く受け入れられ、流行していきました。ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」は、12人のムラノのマエストロ(職人)がヴェネチアから連れ出されて製作したといわれています。
こうしてその名をヨーロッパ全土に広めたヴェネチアガラスは、主に貴族や富豪のために特別に注文されたテーブルウエアを製作するために、大きくそのスタイルを発展させました。 そして、アイスクラック、ダイヤモンドポイント彫り、レースガラス、クリスタルなど多彩なカットの技法が次々に生み出されました。近世では、ガラス文化をヨーロッパ全土に広め、一時はヨーロッパ市場の90%を占有するほど成長しました。
そして現在、熟練したマエストロ(名人)達は息子からそのまた息子へとこの技術を伝承し、昔と変わらぬ伝統の技を活かしながらヴェネチアガラスは創り続けられています。機械での大量生産では出せない本物の味わいがそこにあります。
[出典]TILLIPAN
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